元朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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流されたお墓

津波の後、我が家の墓地に行ってみましたが、一面の砂浜になっていて、お墓がどこに埋まっているのか、あるいはどこまで流されていったのか、わかりませんでした。

倒れているけどそっくり残っているお墓もあって、どこか探せば我が家のお墓も出てきそうで、春のお彼岸の時にもずいぶんと探し回りました。
けれど我が家のお墓は見つかりませんでした。

お寺さんから連絡が入り、釣師北墓地のお墓が見つかり、仮安置してあるのでお参りにおいでくださいとのこと。お花とお線香を持って菩提寺の龍昌寺に行ってきました。

お墓は探し出され、掘り起こされ、ここまで運ばれて並べられていました。驚くことに、一軒のおうちのお墓以外は全檀家のお墓が見つかったそうです。

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あの砂浜からよく見つけていただいたと思うと涙が出ました。

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その他の墓石は、とりあえず山に積まれていました。ご先祖の古いお墓はきっとこの中にあると思います。

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そしてもう一つ、まさいっつぁんのお地蔵さんを見つけてきました。

流されたお墓_f0061402_16432898.jpg

その昔、おっとっとの祖父母は、結婚して3年たっても子供ができませんでした。

ある日、山で一体のお地蔵さんを見つけました。そのお地蔵さんは首がありませんでした。
大事に背負って持ち帰り、安置して
「子宝をお授けください。もし子供ができたらお地蔵さんの首をお付けいたします」
と、願をかけました。

そして生まれたのがまさいっつぁんです。

新しく(と言っても94年も前のお話ですが)つけた首は、又無くなってしまいましたが、それは紛れもなくまさいっつぁんのお地蔵様でした。

お体についた砂を落とし
「今度、お墓を移す時には、新しく首を付けて一緒にお祭りいたします。いつも守ってくださってありがとうございます」
と手を合わせてきました。

龍昌寺さんでは、今回の津波で墓地を流された人全員に、無償で新しい墓地をくださいました。
また、被災して亡くなった人の告別式や新盆のお布施と戒名代はいらないと言ってくださっています。
本当にありがたいことです。

今回の大地震の時に、周りの物がすべて倒れたり落ちたりしたのに、ご本尊さまだけは動かなかったそうです。

そんなお話を聞くと、やはり仏様やご先祖様が守っていてくださると思ってしまいます。
お墓もお地蔵様も見つかったことで、何か大きな力をいただいて、また一歩、足が前に出たような気がします。

(写真がどうしても横にしか表示されないので、お顔を横にしてご覧くださいね)

by asahikanokami | 2011-08-14 16:23 | 避難生活
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