朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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安波津野神社のお祭り(長文です。ごめんなさい)

11月3日は家の近くにある安波津野神社(通称 あんばさま)の例大祭でした。
このお祭りは5年に一回しか行なわれません。したがって、次回は5年後です。

大祭を実行するのは、漁協関係者です。漁師さんたちが一切の采配を振ります。
準備も、当日のお神輿も、売店も、芸能大会も、一切が漁業関係者の手で行なわれるのです。

しかし、現在、漁業従事者は減少の一途をたどり、今や後継者がいないと言う状態です。
神輿を担ぐ青年部が、今回は何とか集まったものの、5年後は3名しかしないのだとか。

したがって、もしかしたら、今回でこのお祭りが消滅してしまうか、もしくは、他の形に変わってしまうかもしれません。

継ぐ子なく 今年限りの 秋祭り

そう聞いたら、いても立ってもいられない!
野次馬精神が疼きます。記録をとっておかなきゃ!!

あいにくと言うか、幸というか、我が家は連休で大忙し。
エプロンのポケットにカメラを忍ばせて、お神輿が来たら飛び出していって写真を撮ろうと、チャンスを窺いつつ、仕事をしておりました。

さあ!チャンスを逃さずにカメラに記録するぞ!
仕事をしながら、お囃子の音に耳を済ましていました。

ほら!遠くから聞こえてくる!
ピ~ピ~、ヒャララ、ピ~ヒャララ・・・・・。

お囃子の音がだんだん近づいてきます。
気持ちがワクワクします。ウキウキします。

もう仕事なんかしてられません。
朝、9時。
はるか向こうから聞こえてきました、笛太鼓。
通り神楽です。

急いで玄関に出ると天狗の先導でお獅子が通っていくところでした。
ピ~ピ~ヒャララ~、ピ~ヒャララ~。ドンドンカカカカッ、ドンカカカッ。
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天狗さんは抜刀してそれを肩にかけて、獅子を挑発するように先導して行きます。
獅子は大きく頭を振りながらついて行きます。
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頭を噛んでもらうと頭痛がしなくなったり、頭が良くなるというので、頭を噛んでもらっています。
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泣く子あり 触る子もあり 獅子頭

その後、トラックに乗ってお神楽のお囃子の一団がやってきました。

お囃子を担当しているのは近所の小学生の女の子達。お囃子を習い始めたばかりだと言うので、テープのお囃子の演奏にあわせて笛を吹いています。

まだメロディまでは無理で
「ピー、ピッ、ピッ」
とまるで雛鳥の鳴き声のように、所々しか音が出ず、思わず笑ってしまいました。
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お囃子は トラックの上 秋祭り

お神楽の後をリアカーが行きます。
門口ごとに出ている人たちが、お金やお米やお酒を奉納して、安波神社のお札を頂きます。
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そして、待ちに待ったお神輿がやってきました。
漁業に従事している、まあ、平たく言えば漁師さんの若い衆です。
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すでにお神酒をたっぷりと飲まされているので、足は千鳥足。神輿はあっちにヨロヨロ、こっちにヨロヨロ。
「危ねぇぞぉ。危ねえべぇ」
とあちらこちらから声がかかります。
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連休なので道路は車が多く、神輿にさえぎられて大渋滞です。
「ほら、車を通してやれ」
と言う声も、酔っ払っているみこしの担ぎ手には届きません。
「かまねぇ~(かまわない)行げぇ~行げぇ~」
と、足元がおぼつかないのに威勢だけは良いのです。

お神輿が 垣の山茶花散らし行く


「いいから、一旦、朝日館の駐車場に入れるべぇ。車を通してからの方が危なくないべぇ」
と神輿が家の駐車場に入りました。

我が家の駐車場に入った神輿は
「揉めぇ~、揉めぇ~」
との掛け声に
「わっしょい!わっしょい!」
とひとしきりもんだ後、出てきました。

しかし、あっちにヨロヨロ、こっちにヨロヨロでなかなか進みません。
またもや、大渋滞です。
「朝日館の駐車場にもどれ~~!車を通してやれ」
と、また駐車場に戻ってしまいました。

それにしても、二度もお神輿が戻ってきて入ってくれるなんて、なんと言う幸運!ラッキー!
きっとご利益があることでしょう。

その後、町内を一回りして浜に戻ると言うので、私もひとまず仕事に戻り、浜に下がってくる頃を見計らって浜に行くことにしました。

秋風に 佳き日寿ぐ 神輿かな

お昼近くになって、そろそろ浜にお神輿が下がってくる頃かなと思い行ってみました。
漁協前には大漁旗が飾られていました。
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小春日和 静かに揺るる 大漁旗

浜では、漁師のおかあちゃんたちが、大きな御釜で鮭汁を仕込んでいる最中でした。
「間もなく出来上がっから、喰って行けぇ~。うめぇどぉ~(おいしいよ)」
と声をかけてもらいました。その脇では、土管を半分にしたものに、炭がおこされています。ここでさんまを焼くのだそうです。
さんまも鮭汁も無料です。

鮭汁の 大盤振まい 浜祭り

船溜まりに止めてある船にも大漁旗がはためいています。
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お神輿がやってきました。
皆疲れきって、よれよれになっています。それでも掛け声だけは大きくて
「ほら!もっと神輿を上げろ!揉め~」
と言われても、担ぐ方は、もう声も出ません。
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やっと、漁協の中に作られた祭壇までやってきました。
後は祭壇の所に神輿を収めなくてはなりません。

収めさせようとする役員の人たち(スーツ姿のご年配)。収めたくない担ぎ手(法被姿の若者)。
祭壇のまえでもみ合いになってしまいました。
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すったもんだの挙句に、やっと祭壇にお神輿を収めました。やれやれ。
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お神楽も遅れて到着。
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これから、お神輿が海に入って禊が行なわれます。
若い衆は法被を脱いで、すでに裸です。
以前は、お神輿がそのまま海に入り、禊(みそぎ)をしていました。

しかし、なにせ、お神輿を担いでいるのは、お神酒で千鳥足の若い人たち。海に入ったとたんに足をとられて転倒し、お神輿を海に流してしまったことがあるのです。

それで、現在は樽神輿に代えて、禊をする様になりました。

11月3日。暖かい日だとはいえ11月です。浜風は思ったよりも冷たく肌を刺します。

裸姿の若い衆も寒そう。

「ほら!行くどぉ!!」
掛け声で樽神輿を担いで浜を目指します。
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浜に着きました。
さあ、海に入ります。

一瞬、お神輿がひるみました。それはそうです。冷たい海ですもの。
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秋の海 神輿ためらいつつ 入る


一度海に入ると覚悟が出来るようで、ドドドッと入っていきました。
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はるか沖をフェリーが通って行きます。
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しばらく波の中で揉み合いをしていたお神輿。
これでみんなの厄も流れたことでしょう。

そして最後にご披露するのは、漁業関係者(ちなみにおっとっとは仲買人です)がいただいたお札とお神酒とお料理です。
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昔から、航海の安全と大漁を願って続いてきたお祭り。
今回限りになるかもしれないと思うと、寂しさもひとしおです。

新地町の大事な伝統行事です。無くしてしまうのはもったいない。これからの子供達にも伝承して行きたいです。なんとか続けられないものでしょうか。

晩秋の 海で禊の 神輿かな             
長いブログを最後まで読んでいただきありがとうございました。

by asahikanokami | 2006-11-08 12:10 | 新地町の人々
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