朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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斉藤茂吉記念館

上山市に来ると必ず寄る場所があります。
斉藤茂吉記念館です。

斉藤茂吉先生はここ上山市で生まれ、その神童ぶりを認められ、東京の斉藤紀一の跡取りとして養子になります。この場所は明治天皇が東北巡幸のときに小休所になったところで、茂吉先生のお好きな場所だったそうです。

駐車場から奥羽本線の線路の跨線橋を渡ると、そこは木立に囲まれた記念館。

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時がゆっくりと流れて、世間とは隔離されたような、空気まで澄んでいる別世界が広がっています。やさしい風が吹いています。

手入れの行き届いた広い庭を通って入り口まで来ると、斉藤茂吉先生がお出迎えしてくださいます。

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草むらから虫の音。木々からはセミの声。その他の音は聞こえません。

私が最初に茂吉先生の短歌に出会ったのは高校の国語の時間でした。

のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にいて垂乳根の母死にたまふなり

国語の先生が「垂乳根」というのは「母」の枕詞だと言う説明と一緒に、死に行く母親を見つめる切なさを愛情いっぱいに歌ったのだと教えてくださいました。

「死に近き母に添い寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞こゆる」
「我母よ死にたまひゆく我母よ我を生まし乳足らひし母よ」


絶唱とも思える短歌は、思春期の私の心に少なからぬ衝撃を与え、級友と競争しながら夢中になって数々の歌を暗記したものです。(そのほとんどが忘却の彼方に消えてしまったのがちょっと悔しいです)

館内は撮影禁止でしたので、写真を撮ることは出来ませんでした。しかし、その分、茂吉先生の短歌の世界にどっぷりと漬かって、高校時代に戻ったような気持ちで数々の作品を見てきました。

そしてその中に好きだった歌も見つけました。

「こらえゐし我のまなこに涙たまる一つの息の朝雉のこゑ」
「ゆふぐれの泰山木の白花はわれのなげきをおほうがごとし」


記憶力が減退して昔のように丸暗記してくることが出来ず、こっそりとメモしてきました。

ずいぶんとゆっくりと中を見学して、満ち足りた気持ちで記念館を出ました。このまま帰りたくなかったので興奮を鎮めるようにお庭を散歩しました。

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そして庭の隅に歌碑を見つけました。

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「ゆふされば大根の葉にふるしぐれ いたく寂しく降りにけるかも」

又行きたくなる、そんな魅力のある記念館です。

「あかあかと一本の道とほりたり たまきはる我が命なりけり」

by asahikanokami | 2007-09-13 22:59 | 旅の話
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