元朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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橋役人

私たちのグループは、毎週一回小学校で読み聞かせと昔語りをしています。

先月は私が当番だったので新地小学校で昔話をしてきました。

「橋役人」
貧しいじい様が、せっせと働いて小銭を貯めて隣村に酒を買いに行きます。帰り道、橋役人(橋の袂で通行の不審な物や者を取り締まる役人)に貧乏とっくりの中身を調べられます。

「これは怪しくござりやせん。酒でござりやす」
と言ったのに、グビグビと呑まれて
「確かに酒であった。通れ」
と通されます。

その次にじい様は中身を小便だと嘘をつきますが、役人に調べると言われてまた飲まれてしまいます。

その次にじい様は考えます。
「酒だと言っても小便だと言っても飲まれてしまう。それなら本物の小便を入れておこう」

そしてそれを飲んだ役人は二度と調べるとは言いませんでした。

さてこの話をしたら5年生の生徒からいろいろな意見がでました。
「どうして橋役人は自分のお金でお酒を買って飲まないのだろう」

「お爺さんは最初から二本お酒を買って一本あげればよかった」

「違う道を通ればいいのに」

私はその意見に何も言わずに
「どうしてでしょうね。みんなで考えてみましょう。宿題にします」
と言ってきました。

先生には
「答えは出さないでください。いつか、一人ひとりの生徒さんがその答えに気がつく時が来ます。答えが出なくてもいいのです。昔話ってそういうものですから」
とお願いしてきました。

子供のころ聞いたお話で、昔語りの勉強をするようになってから気がついたことがあります。それは大きな頭をもった男のお話で、その男は大きな頭を利用していろいろな物を栽培して儲けるという、荒唐無稽なお話です。

最後に男は大きな頭の上で大根を栽培します。

「そうするとなぁ、十里もあるおっきな大根が採れたど。その大根を抜いてゴリッゴリッと喰ったど。十里もあるおっきな(大きな)大根だから葉もおっきいと思ったれば、なんと、その大根は葉なしだったど。おしまい」

子供の頃、何の疑問も持たずに聞いていた話。

大人になって気がついたのは
「そうか!十里もある大根だからゴリッゴリッ(五里、五里で十里)と食べたんだ!!」

「葉なしっていうのは話にかけていて、これはみんな作り話だというオチか!!」
ということです。そして何十年振りかで謎が解けて一人で大笑いしました。こんな所も昔話の楽しいところです。

私の話を聞いた小学生も、いつか
「橋役人も少ない俸禄の中で、存分に好きな酒も飲めないほどつつましい生活をしていたんだろうな」

「じい様は貧乏徳利一本分のお酒を買うのにせっせと何日も働いたんだろうな」

「昔は橋など村に一本、二本ぐらいしか架かっていなかったんだな」
と気がつくことでしょう。

私が昔話を通して小学生に伝えたいのは、他人を思いやるやさしい心です。

by asahikanokami | 2008-03-17 16:17 | 昔話
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