朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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<   2007年 03月 ( 5 )   > この月の画像一覧


新聞記事

ちょっと恥ずかしいのでここに載せようか、どうしようか迷ったのですが、見たいというご希望もあったので記事の写真をアップします。
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本当はもっと美人女将ですと言いたいところですが、写真は正直ですので、嘘はやめましょうね。
はい!これ以上でもなく、これ以下でもなく、等身大の写真でございます。
(写真をクリックすると大きくなります)

「桜」

嫌だ
なんと言われても嫌だ

三度も手術をした娘の体に
またメスを入れるというのか

癌の舌を切り取っても
まだ足りないと言うのか
目玉まで取り出すと言うのか

嫌だ
なんと言われても嫌だ

娘の亡骸の前で
くしゃくしゃに握り締めたアイバンク登録書

「おまえは自分の気持ちを大事にするのか
菜穂の気持ちを大事にするのか
これはあの娘の遺志なんだぞ」


桜が大好きな娘だった
桜が満開になるのを
あんなにも待ち焦がれていた


菜穂子よ
今日はどこかで
誰かの目の中で
おまえの角膜は
この満開の桜を見ていることだろう

あの時
お父さんの言葉で
角膜を残してよかった

誰かの目の中で
おまえの角膜は生きている

ほら
満開の桜が見えるかい
あんなにも見たがっていた桜だよ

あとからあとから
薄紅色の花びらが落ちてくる
お堀の水面を花びらが埋め尽くす

もし人ごみの中から
お母さんを見つけたら
瞳をピカッと光らせなさい

必ず必ず合図を送りなさい
きっときっと知らせなさい

風が吹いている
花びらが舞い上がる
花びらが舞い落ちる

私はむせかえるほどの桜吹雪に包まれて
立ち尽くしている




「涙」

顔の上の白い布をはずす
まだほんのりと暖かさが残っているほほ

眠っているような
今にも目を覚ましそうな

辛かったね
悲しかったね

もう我慢しなくてもいいのよ
もうがんばらなくてもいいのよ

泣いているの?
涙が出ているよ

角膜を提供したあなたの目には
もう目玉は無いのに
ガラスの玉しか入っていないのに

泣いているの?
涙が次々とあふれてくる

癌だとわかった時も
舌を半分取られたときも
命の期限を切られた時も
泣かなかったのに

どんな時も泣かなかったあなたが泣いている
ガラスの目玉で泣いている

本当は辛かったのね
悲しかったのね
悔しかったのね
泣きたかったのね

お母さんが辛がるから泣けない
あなたはそう言った

あなたに負けまいと
がんばったけど
ほんとはね
おかあさんはずっと泣いていたのよ
あなたの見えないところで泣いていたのよ

泣きなさい
泣きなさい
気がすむまで泣きなさい

ガラスの目玉でもいいから
泣きなさい

ほほを拭いてあげる
そっと頬ずりをしてあげる

がんばったね
えらかったね

自慢の娘だったと
いっぱい 
いっぱい 
褒めてあげるから



「桜 その2」

ねえ、あなた
あの子の桜が咲きましたよ

まだこんなにも小さな苗木だと言うのに
植えたばかりの小さな苗木だというのに

ほら ほら
根元に二輪の小さな白い花

あの子らしいですね
桜の季節まで1ヶ月もあるというのに
相馬で一番早い花を
咲かせるなんて

あの子らしいですね
もう14日も咲いていますよ
こんなにも散らずに
咲き続けるなんて

かぐや姫のような子でしたね
お月様から預かって
26年の間
大事に 大事に 育てて
またお月様に
お返ししたのでしょうか

あの子の大好きな桜を
庭に植えたのは
あれは
お友達ではなく
お友達の姿を借りた
あの子でしたね

ほら
桜を見ていると
あの子の声が
聞こえてきますよ

もう
私たちも
少しづつ 少しづつ
悲しみを
思い出に
書き直していきましょうか

ねえ、あなた
今夜は満月

まん丸なお月様の下で
あの子の桜のそばで
夫婦二人で
お花見をしませんか

by asahikanokami | 2007-03-31 15:25 | 亡くなった娘の話

娘の桜が新聞で紹介されました

今日の福島民報に菜穂子の桜の記事が載りました。私たち二人が桜を見上げている写真も一緒に。

おっとっとが涙ぐみながら記事を読んでいました。

「早逝の娘 しのぶ春   ゆかりの桜 今年も咲く」

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新地町の旅館朝日館の村上さん方で、癌のために早逝した長女菜穂子さんゆかりの桜が五分咲きになった。村上哲夫さんは妻の美保子さんと共に、面影を思い出すと共に、娘に負けず前向きに生きることを誓っている。

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山形大学農学部大学院を卒業し、会社の研究室に勤めていた菜穂子さんが病を知ったのは23歳の時。癌の中でも女性には珍しい部位の癌で、約二年半の闘病生活だった。

桜を植樹したのは長女が亡くなった平成12年の6月から一年後。インターネットでさまざまな職業の人が交流する「メキキの会」のメンバーである美保子さんが、角膜をアイバンクに登録していた長女の話をつづった。

病の床で臓器移植カードを準備していた菜穂子さん。死後、美保子さんはこれ以上娘を苦しめたくないと反対したが、最後は哲夫さんの「娘の遺志」との言葉に納得した。

ブログには菜穂子さんの瞳がどこかで役に立ち、今もこの春、どこかで桜を見ているかもしれないと記した。
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この話に感動した「メキキの会」の会員である東京の社長が苗木を新地まで送ってくれた。か細い幼木だったが、村上さん夫妻は慈しみ平成14年、ようやく二輪ほどの花をつけた。

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闘病中、菜穂子さんは一言も弱音を吐かず、両親を反対に励まし続けたという。美保子さんは「病魔に冒されながらも最後まで一生懸命に生きた娘の思いを大切にしていきたい」と、哲夫さんともに桜を見上げている。

           (以上、福島民報記事から)

この桜の名前は「乙女桜」といって山桜の一種なそうです。
花は小さくてほんのりと桃色がかった白です。

どこか風情が娘に似ているような気がします。菜穂子はどちらかというと現代的な娘というよりも、ちょっと古風な所がありました。おっとりとした優しい子でしたが、芯はしっかりしていて明治の女性のようでした。

仕事が忙しい私に代わって、姑が育ててくれましたので、私よりも姑に似た娘に育ちました。姑に感謝です。

ああ、そういえばいつも桜の季節には、姑と二人でお団子を二本買って、お茶を持参で
「私たちって日本一安上がりのお花見だね」
って笑いあいながら、あちらこちらの桜を見て歩いたものです。

今頃、お空の上で姑と娘も菜穂桜のお花見をしていることでしょう。

by asahikanokami | 2007-03-29 18:52 | 亡くなった娘の話

ダイヤモンドシティ エアリ

仙台市の南、名取市に大きなショッピングモールができました。 ダイヤモンドシティ エアリ。

仙台空港までのアクセス鉄道が18日に開通するのにあわせて、先日グランドオープンしたのです。

先日、仙台に用事があって4号線を北上していたら、岩沼市からすごい渋滞で、事故かなと思ったら、なんとそこに行く車の渋滞でした。

18日に鉄道が開通すると・・・きっと・・・もっと混むことでしょう。今の内に行ってみるか!

と思い立って、今日のお昼にトコトコと車を走らせて行ってみました。いやあ~~~、聞きしに勝る広さ。駐車場も広くて、方向音痴の私は、帰りに自分の車にたどり着くことが出来るかどうか心配です。大きな看板に「6」と書いてあったので
「六番、六番、六番」
と、忘れないように呪文のように自分に言い聞かせつつ、中に入りました。

某スーパーの○オンと某○越デパートが大きな建物の両端に陣取り、その中間を専門店がひしめき合っています。すごい広さです。それ以上にすごい人です。あら、子供が多いと思ったら、そうかぁ・・・春やすみかぁ・・・・。

とりあえずは、腹ごしらえとレストラン街を歩くも、どのお店の前も3~40人以上の人が列を作って並んでいます。ひゃあ~~~。これではいつ座れるかわかりません。

お腹をすかせながらもウインドウショッピング。おばさんが着られるような洋服は・・・・無い!皆無!!

今年のスカートは短くて、ふわふわのプリーツが多いのです。こんな可愛いスカートの下から、太い足が・・・と想像するだけで、私がこのスカートをはくのは、犯罪かもと思ってしまいます。

一階、二階、三階と、歩いた歩いた。足には自信があります。(注:足の太さではありません。長時間歩けるということです)

そしたら空いているお店がありました。スタバ。仕方なくそこでコーヒーとパンで腹ごしらえ。やっと人心地がつきました。

そしてまた、中をうろうろ。天井が高いのですごく大きく感じます。並んでいる品物もおしゃれです。新地のお店とは段違い。月とすっぽん。見て歩くだけでも楽しいのです。

目の保養をして、夕ご飯の材料を買って、駐車場で案の定、ウロウロと自分の車を探して、またトコトコと帰ってきました。

久しぶりのデパート。ウインドウショッピングだけで何も買わなかったけど、それでもストレスの解消になりました。私ってなんと安上がりなんでしょう。

又明日から忙しい日が続きます。

by asahikanokami | 2007-03-15 19:27 | 私のこと

ウグイスの初音

夢の中でウグイスが鳴いていました。
「ホ~~~~ホケキョ!」
夢の中で・・・・聞いていて・・・あ~~・・ウグイスだぁ・・・。

「ホ~~~ホケキョ!」
いや!夢じゃない!現実!!

「ホ~~~~ホケキョ!」
どこで鳴いているのでしょう。今年は暖冬だったので初音も早い。いつもなら4月に入らないと聞くことが出来ないウグイスの初音。

お昼近くに二階に上がったらどこからか又、聞こえてきます。
「ホ~~ホケキョ!   ホ~~ホケキョ!」
のんびりとした声で鳴いています。ああ、春だなぁ!


 * ウグイスの 初音に惰眠 破らるる

 * 浜風に 乗ってホケキョと 初音かな

 * 「法華経」と 初音ひと声 供えらる

 * 鎮守森 ウグイスの声 あの辺り

 * ウグイスや 隣村へと 続く道

by asahikanokami | 2007-03-10 22:14 | 我が家の日常

友逝けり

親しい友人のなおさんの突然の訃報が2日に届きました。

1月16日の朝に脳幹出血で倒れてから45日。自分でそろそろ旅立ってもいいかなと思ったのかなぁ。
友人一同、毎日元気になることを信じて祈っていたのですが、その願いは届きませんでした。

4日、告別式が行われるというのでおっとっとの車で山形まで出かけました。

ちょっと早めに着いたので、お昼でも食べようと角を曲がったら大きなホールがあって、そこの看板になおさんのお名前が書いてありました。

なおさん、私が方向音痴なことを知ってて、ここまで案内してくれたのかと思ったら、胸がいっぱいになりました。 そういえば、お客様で最後にお帰りになったのは、なおさんと同じ苗字のお客様だった・・・・。 その方をお見送りして、後片付けもせずに出てきたのです。

斎場の入り口で奥様と一人息子の翔ちゃんが立っていました。駆け寄って奥さんを抱きしめたら、あの細い奥さんが、いっそう細くなっていました。長い看病とそれに続く別れは辛かったよね・・・・。がんばったね。

翔ちゃんの頭をなでて
「今度はお父さんの代わりに翔ちゃんがお母さんを守らなきゃね」
って言ったらコクリとうなずく・・・。大きな目にはいっぱいの涙。必死になって泣くまいと歯を食いしばっているあどけない顔に泣かされました。

告別式は大勢の参列者で、会場はすすり泣きで満ちていました。笑顔で祭壇の上からなおさんが見ています。あの大きななおさんが、小さな壷に収まって箱に入れられて祭壇の中央にいます。

ここに来るまでなおさんがいなくなったなんて信じられませんでした。しかし、祭壇を見ると信じないわけにはいきません。

告別式は本当に辛く悲しいものでした。商工会青年部長の方や同級生の方が読み上げる弔辞には、生前のなおさんの優しさや行動力や指導力のすばらしさが紹介されて、私たちが知らないなおさんの一面を知りました。

そしてなおさらに、若くして亡くなられたなおさんが惜しい。悔しい。悲しい。

告別式終了後にロビーに出てきたら、メキキのメンバー、元メキキのメンバーが12名もいました。喫茶店で皆で思い出話をしてなおさんを偲びました。

4日は満月だったので、帰り道、大きな、大きな満月が昇ってくるのが見えました。

そして昨日は奥さんから電話が来て、長電話しました。
泣いたのは私のほうで、奥さんはちょっと声が詰まるときもあったけど、とても凛としていて、しっかりしていて安心しました。

なおさんが倒れてから、彼女なりに覚悟をし、将来を見つめ、これからの人生を決定したのかな。そして彼女のそんな決心を知って安心してなおさんは旅たって行ったのかな。

翔ちゃんと、生きているってすごいことだねっていう話をしたそうです。翔ちゃんが、動かないお父さんを見舞って、話せること、見えること、聞こえること、そんな当たり前のことが本当はすごい奇跡なんだって気がついたと話してくれたそうです。

それは、なおさんから翔ちゃんへの最後のプレゼント、親としての大事な最後の教えだったと思い、すごく感動しました。

心配していたけど奥さんは思ったよりずっとしっかりしていて安心しました。翔ちゃんがいるからこれからの人生をがんばれる、翔ちゃんを生んで良かったって。 話しながらも涙をとめることが出来ませんでした。

告別式に参列して、なおさんが亡くなった事を実感したはずなのに、どこかでまたなおさんが翔ちゃんを連れて朝日館に遊びに来るようなきがしています

なおさん、ありがとう。そして安らかに。

「献句」

 *訃報来る 弥生の空は 青ばかり

 *春光に 包まれて君 召されしか
 
 *友逝けり 海から登る 春の月

 *白鳥の 北に向かうごとく 友逝けり

 *葬儀の日 雪解けの川 満々と

 *春風の ごとき笑顔の 遺影見る

 *風ぐるま 真一文字に 遺児の口

 *遺影抱く 児(こ)に千の風 春の風

 *葬儀より 帰りて遅き 雛納め

by asahikanokami | 2007-03-07 13:29 | 友人のこと