Kさんから今回のコマーシャルの概要をお聞きして、必要な写真や書類をそろえることになりました。
娘が亡くなったのは平成12年。
今年10年目になります。
実は娘が亡くなってから、一度も娘のアルバムを開いたことがありませんでした。
と言いますか、開くことができませんでした。遺影もお仏壇にはありません。毎朝見るのが辛いからです。お仏壇には秋山巌画伯(棟方志功画伯のお弟子さんだった方です)が描いてくださった「菜穂子菩薩」の色紙が飾ってあります。
もっと書き加えるなら、娘が亡くなった時に病室から持ち帰ったいろいろなものは、その時に病院で箱に入れたまま、一度も開けていません。
どうしても開ける気になれなかったのです。
しかし、今回は開けないわけにはいかなくなりました。
アルバムには時が止まったように、娘の笑顔がありました。どの写真も多くの友人たちに囲まれて楽しそうに笑っていました。
涙がこぼれたけれど、反面、こんなにも楽しい人生を送ったのかと安堵しました。
10年ぶりに見た娘の笑顔の写真。
「私が元気な時の笑顔をいつも思い出してほしいから、病気の顔は忘れてね」
といった菜穂。
お母さんは、あなたの笑顔を思い出してますよ。