元朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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津波なんて来ねぇ

家に戻ってみると、自宅部分の玄関は下駄箱が倒れて入れません。
ぐるりと回ってお客さんの玄関から入ると、室内は惨憺たる有り様です。
足の踏み場がないとはまさにこう言うことを言うのでしょう。

「あ~あぁ、明日から二ヶ月営業休むからな」
というおっとっとに
「何いってるの!一週間あれば片付くでしょ!」
と怒鳴った途端にさっきよりも大きな揺れが来ました。

「早く新館ににげて!!」
二人で建物の奥に逃げたのでした。

建物が音をたててきしんでいるのがわかります。
あちこちで何かが落下する凄まじい音が聞こえます。

足元を見たら床の割れ目からどす黒い泥が吹き出しています。
液状化だ!!

32年前の宮城沖地震の時でさえこんなことはありませんでした。

胸騒ぎがしました。
いつもと違う!おかしい!

頭に浮かんだのは子供の頃、何度も聞かされた三陸大津波の話でした。

「津波が来る。逃げるよ!」

「なぁに大丈夫だぁ。ここには津波なんて来たことねぇ」

のんきなおっとっとっを引っ張るようにして、床に転がっている物を乗り越えて玄関まで出ました。
寒いから上着でもと思ったのですが、タンスが倒れていて開けることが出来ません。

「菜穂」
散乱している物を踏みつけて、必死に手を伸ばして娘や先祖の位牌を広い集め、それだけを持って車に乗りました。

つづく

by asahikanokami | 2011-03-31 09:24 | 避難生活
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