元朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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片道6時間かけて

お陰さまで叔母の手術は無事終わり、経過も良好です。今日は妹が病院に行ってくれると言うので、病院行きはお休みしました。

さて、被災して最初に駆けつけて来てくださったのは、経理を見てくださっている税理士さんでした。

タオルや洗面道具、下着や靴下、ティッシュペーパー等の日用品。お菓子や飲み物、リップクリームや保湿クリームまですぐに役に立つものが過不足なくきっちりと詰まった荷物を持って来てくださいました。
とてもありがたく助かりました。

次に駆けつけて来てくれたのは、相馬の妹夫婦でした。
二人で持てるだけの衣類や布団等を運んで来てくれました。避難所は寒かったので、持ってきてくれた上着に助けられました。時々おかずを運んできてくれたので、それも嬉しかったです。

そして電話が通じるようになってから、毎日電話をくれたのは、仙台市の隣の名取市に住んでいる妹です。

いつも電話を切る時にいう言葉は
「ごめんね。すぐにでも飛んで行きたいのだけれど、ガソリンが買えないのよ。車にガソリンが入ったらすぐいくから」
というのです。

「良いのよ。後一週間もすれば自由に買えるようになるから。そしたらいらっしゃい」
といつも返事をしていました。

震災と津波で、道路はあちこちで寸断されて、物流が止まりありとあらゆるものが不足しました。ガソリンも不足し、ガソリンスタンドには長い車列ができました。4時間並んでも10リットルしか手に入りませんでした。

ある日、妹夫婦が避難所にやって来ました。なんと自転車で!しかも片道6時間もかけて!!
朝の5時に自宅を出発して避難所に到着したのは11時でした。

「なんて馬鹿なことを.....自転車で来るなんて考えるのは、世の中広しと言えどもあんた達ぐらいなものよ.....」
と言いながら、そこまでして来てくれた気持ちが嬉しくてありがたくて抱きついて泣いてしまいました。

ガソリンスタンドに並んでも少ししか手に入らないのなら、いっそ自転車でいこうかと相談がまとまりまったそうです。

途中、地震で道路には段差や亀裂ができ、至るところに瓦礫があったそうです。自動車だって大変な道を、よくぞ自転車で来たものです。途中のトイレは、被災して誰もいない民家の影で、一人が見張りしながら済ませたとか。
そんなおもいまでして駆けつけて来てくれるのは身内なればこそ。本当にありがたいと思いました。

朝日館の無惨な姿に号泣し、長いこと佇んでいた妹。まさか、自分の生家がこんなことになったとは思いもしなかったことでしょう。

幸い家の車には、ガソリンが入っていたので帰りはワゴン車に二台の自転車に押し込んで自宅まで送って行きました。

あの日から二ヶ月も経っているのに、こうして思い出すだけでもありがたくて今でも涙がこぼれます。


 

by asahikanokami | 2011-05-28 14:44 | 避難生活
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