元朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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4・海を越えて子守唄

天童で食事を終わったら3時半を廻っていました。

本来なら酒田へ行き、山居倉庫などを見せていただき、お米についても勉強する予定でした。しかし、ここからどんなに急いでも酒田につく頃は見学時間が終了しているというので、急遽、このまま鶴岡市の湯の浜温泉のホテルに直行と決まりました。

鶴岡市の看板が見えてきました。

私はずっと仲良しの歌手の美地ちゃんの大好きなCDを聞きながらバスに揺られていました。
今日は美っちゃんのコンサートの日です。美っちゃんはきっと素敵な歌声で皆さんを魅了していることでしょう。

あたりはドンドン雪が深くなり、さながら墨絵の世界です。
4・海を越えて子守唄_f0061402_12335242.jpg



鶴岡は娘が大学二年から大学院を卒業するまで住んでいました。その間、何度鶴岡を訪れたことでしょう。

山形から鶴岡に引越しした時は我が家の送迎用の大型バスで荷物を運びました。あの時は息子も一緒で皆で大騒ぎで荷物を運びました。

桜の頃、お花見に来たこともあります。娘がいつも美味しいお店を探し出していて、アルバイト代でご馳走してくれました。
「おかあさんにも食べさせたかったのよ。おいしいでしょう」
いつも笑顔だったあの子の顔が目に浮かびます。

「おかあさん、辛さを乗り越えて、よく鶴岡まで来れたね。私も来たかったのよ」
娘の声がどこからか聞こえてきます。

CDから偶然にも『海を越えて子守唄』の曲が流れてきました。


4・海を越えて子守唄_f0061402_12341176.jpg


遠い遠いあの日の 小さな寝息が響く
夢を愛を明日を いとしいこの子に
なつかしいあの風 あの声
立ち止まり 心引き寄せて
ねんころろ ねんころろ
ねんねんころろん  ねんねしな
この子に歌う 母の子守唄

今までかろうじて堰き止まっていた涙がどっとあふれました。
あとからあとから出てきます。

墨絵の世界。娘との楽しかった思い出。みっちゃんの透き通った歌声。

人に見られるのが嫌で窓におでこをぴったりとくっつけて、涙を流しました。

by asahikanokami | 2006-04-13 12:34 | 亡くなった娘の話
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