元朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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5・目じりの涙

泣くまいと思うのに、涙があふててきて仕方ありませんでした。

ふと隣にも異変が起きていることにかがつきました。

目をつぶって寝ているおっとっとの目じりに涙が・・・・。
狸寝入りしてる・・・・。

娘が亡くなったときに少しの間は落ち込んでいたおっとっとですが、すぐに元気になりました。

娘が亡くなって間がないというのに大声で笑うおっとっとが信じられませんでした。この人はどう言う性格をしているのだろうと思いました。

食事も喉を通らず薬を飲まないと眠れない私は、商売をしていたから、息子がいたから、舅を無事に送るのが嫁の務めと思っていたので、その緊張だけでかろうじて精神状態を保っていました。

平気の平左に見えたおっとっと。

最近義妹から
「菜穂ちゃんが亡くなった後、てっちゃん(おっとっとを妹はこう呼ぶ)が自分だけでも元気にしてないと共倒れになる。お義姉さんが元気になるまで泣かないことにしたって言ってたんだよ」
とこっそり聞きました。自分も私と一緒に落ち込んだら、私の精神の均衡が崩れると思ったらしいのです。

娘が癌だとわかった時におっとっとが
「おまえでなくて菜穂でよかった」
といったことで、私が激怒したことがあります。
「私が癌になった方がどんなによかったか。あんたはなんてことを言うの!!」

するとおっとっとは
「おまえが癌になったら菜穂と二人でもどうしようもなかった。菜穂なら、おまえと二人で力をあわせればなんとか治してやれるかもしれない」
と言いました。それでも私はそんな薄情なことを言うおっとっとを許せませんでした。

私たちは二人で何とか治してやりたいとがんばったけど、治してやることは出来ませんでした。

いま、改めておっとっとの言葉を思い出しています。

目じりの涙。

おっとっと。あんたも辛かったのね。悲しかったのね。私と同じように。

ごめんね。あの時は誤解して。そしてずっと私を支えてくれてありがとう。

美っちゃんの天使の歌声が流れていく。
鶴岡の山々を。


きらきらきら太陽 きらきらきら輝く
きらきらきら瞳を くもらせないで
きらきらきら涙が きらきらきらひとすじ
私のほほを あつくぬらす

by asahikanokami | 2006-04-13 12:36 | 亡くなった娘の話
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