元朝日館の女将のてんてこ舞日記


東日本大震災で被災した小さな旅館の女将の日々
by asahikanokami
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南イタリアの旅 6 (ワイン騒動)

では、ワイン騒動です。

旅行中に何か見つけて
「あ、これをあの人に買って帰ろう」
と思い、お土産を買うのは楽しいものです。

しかし・・・・
「これを買ってきてください」
と頼まれて、旅行中にお土産を探すのは大変です。何をしに旅行に来たのかわからなくなります。

さて、言いたがりのおっとっと。
「イタリア旅行に行って来るから」
と言いふらしたらしい。

出発の三日前。熨斗袋を持って帰ってきました。

「どうしたの?」

「○○さんが餞別だと」

「ええっ!お餞別を頂いたらお土産を買ってこないといけないんだよ。どうしてお餞別を受け取ったの。せっかくの旅行がお土産を探すのに神経を使って・・・楽しくなくなるよ・・・」

「お土産を探す心配は要らない。これを買ってきてくれと頼まれたから、これさえ買えばいいから」

おっとっとが差し出したのはワインリストでした。
シャルドネ○○、シャルドネ××。シャルドネ△△。

「この中からどれでも良いから買ってきてくれと頼まれたんだ。無いときは、シャルドネなら何でも良いと言う話だ。旅行中にどれか一本ぐらいは見つかるべ」

しかし、今は液体は機内に持ち込み禁止なのです。

「買えない時はどうするの?そんな安請負して。旅行中ずっとワインを探して歩くなんて嫌よ。何しに行くのかわからなくなるでしょ。第一、機内に液体の持ち込みできないんだよ。スーツケースに入れて、ビンが割れて、中の洋服がワインを全部飲んでしまったらどうするの」

「洋服が酔っ払うだけだべ」

すでに、出発前から夫婦喧嘩の日々でした。

出発前に添乗員さんに聞いてみました。すると、イタリアは機内に液体の持込が比較的ゆるく、出国手続き後、免税店で買って所定の透明な袋に入れてシールし、領収書を添付すれば一人三本までワインが機内持ち込みできるらしいのです。

「チャンスは二回ですね。パレルモ空港かミラノ空港で探すしかないです。でもパレルモ空港は小さいので、希望のワインをゲットするのは難しいと思います。ミラノ空港なら買えるかもしれません。ただ・・・もし飛行機の到着が遅れると、買い物をする時間が無いかもしれません。とりあえず、ミラノ空港に到着したら、下調べして帰りにすぐに帰るようにしておいたらいかがですか」

で、ミラノ空港に到着した時に見つけました。シャルドネ。
お店のきれいなお姉さんに、おっとっとが
「アフター 5デイズ カムバック。3ワイン、キープ、プリーズ」
と単語を並べて取っておいてくださるようにお願いしました。

でたらめの単語並べただけの英語でも何とか通じるものでお姉さんは
「О・K」
と言ってくれたのでした。

そして昨日のミラノ離婚に続きます。

さて帰りのミラノ空港。案の定、飛行機の到着が遅れて、時間は20分しかありませんでした。ミラノ空港に到着するや否や、おっとっとと二人でワインやさんに走りました。

「あった、あった!」
ゼーゼーと息を切らしながらも、なんとかワインをゲット。ほっ!

頼まれたメーカーのワインではありませんでしたが、とりあえずお店の中では一番高価なシャルドネを買いました。

帰国後、ワインを頼んだ方はとても親しくしている方なので
「あのね、ワインを頼まれたおかげでミラノで離婚する所だったのよ。シャルドネって北のブドウなんだって。南イタリアでは栽培してないんだって。もう大変だったんだから」
と愚痴りました。

するとおっとっとの友人は
「それは悪かったね。そんな事情とは知らないものだから。イタリアならどこでも売っていると思ったんだ。申し訳ない」
と、体が三分の一ぐらいになるほど、小さくなって謝られました。

「あなたがワイン通だっておっとっとが言うから、美味しいワインを買わなきゃと思って探すのが大変だったのよ」

「いや、ワイン通なんかじゃないよ。物の本に『イタリアのワインで美味しいのは白のシャルドネ』って書いてあったから、一度飲んで見たいと思っただけだ」
だって・・・・・・。絶句・・・・・・・。

・・・・あの夫婦喧嘩は・・・一体なんだったんだろうか・・・・・。

by asahikanokami | 2007-06-13 22:33 | 旅の話
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